しかし私の心配も虚しく、何事もなく帰ることができそうだった。

新学期にもなれば、その噂とやらも消えてなくなっていることだろう。


「ねえ、カイ。一緒に帰ろう」


いつも一緒に帰っているというのに、結衣はわざわざ私にそう声をかけてきた。

私は不思議に思いながらも、いつも通り結衣と一緒に家路につく。

しかし結衣の様子がおかしいのは、その時だけではなかった。

いつもは饒舌な結衣が、今日は一言も喋らないのだ。

私は心配になって、思わず「どうかしたの」と彼女に訊ねた。


「・・・あのさ、カイ。話があるの」