結衣と話していたはずの男子生徒が、不意に声を上げた。

彼のほうを見なくても、それは私に言っているのだということは、分かっている。

…はいはい、何ですか。


「何、無視してんの?」

「いや、何でここにいんの?」

「お前に用事があったからですけど。それが何か」

「それ、今じゃなきゃだめなの?」

「うん。だから、来たんじゃん」

「・・・じゃあ、用事って何」

「うっそー。用事なんてねえよ、バーカバーカ」

「うっざ」