「・・・」

「・・・」

「・・・は?」


束の間の沈黙の後、佐久間さんはそう声を漏らした。

私はというと、声も出ないくらい驚いていた。

お兄ちゃん、今、何て言ったの?


「望月、もう一回だけ訊く。お前、カイちゃんが好きなのか?」

「好きだっつってんだろ」


やっぱり、聞き間違いなどではない。

お兄ちゃんはどうして、平然とそんなことが言えるのだろう。

しかも、私の前で。


私は、手に持っていた2本のネクタイのうちの1本に、そっと視線を落とす。

お兄ちゃんが私にこれを渡したのは、それが一番丸く収まるからだと思っていた。

でも、もしそうじゃないとしたら――。