――カイちゃんに、これ渡すからじゃん。


そう言って、佐久間さんは自分のネクタイを差し出してきた。

私はどうすればいいか分からず、とりあえずそれを受け取る。

私のネクタイは・・・。

そう思った矢先、もう一本ネクタイが飛んできた。

慌てて名前を確認するとそこには、望月悠――お兄ちゃんの名前が刺繍されていた。