体育館を出て校門の前まで来てみると、そこは人の海だった。


「・・・あっ、カイ!!」

「ん?あれ、結衣じゃん」

「見て、これ!この数!」


そう言って結衣は、自慢げにネクタイを掲げた。

5本くらいだろうか。

緑色のラインが入っているので、3年生のものに違いなかった。

ネクタイの裏にはそれぞれ持ち主の名前が刺繍されているのだが、結衣の持っているものの中に、私の知っている名前はなかった。

いくら結衣でも、人気者のネクタイは貰えないのだろうか。

だとしたら、彼らは一体誰に渡すつもりなのだろう。