式が終わり、卒業生に続いて保護者、来賓者が退場していく。
私たちはそれを、最後まで拍手で見送り続ける。
そして校長の「お疲れ様でした」という言葉を皮切りに、在校生も退場する。
女子生徒の退場の迅速な事と言ったらなかった。
見渡す限り、もう男子しか残っていない。
そんな私をからかうようにして、クラスメイトの男子が肩を叩いてきた。
「お前は行かねーの」
「うん、まあ。別に好きな人とかいないし」
「わー、マジか。そういう奴のこと、何て言うか知ってる?」
「・・・さあ」
「化石」
あっそう、と返して私は彼の脇腹を小突いた。
化石って何だよ、と思いながらも、私はその表現を少し気に入っていた。