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お兄ちゃんが日本を発って、もう1年が経とうとしていた。

そんなある日。

郵便受けに、1通のエアメールが届いていた。

送り主はもちろん、お兄ちゃんだった。



My Dear, Peinture,


カイ、久しぶり。悠です。
Peintureっていうのはこっちの言葉で
「絵」という意味です。
豆知識。

あれから、もうすぐ1年。早いね。
フランスには慣れたところだったのに
そろそろ日本に戻らなきゃいけない。
卒業は、そっちでする予定だからね。

それにしても、パリはいい所です。
またいつかカイにもこの景色を見せたい
なんて、クサいかな(笑)

でもいつか、絶対。

というか
カイ、もしかして彼氏とかいるのかな。
もう俺のことなんて眼中にねーのかな。
つーか、覚えてるかな(笑)

そんなことを、毎日のように考えてる。

でも別に、俺はそれでもいいと思ってる。
あの時に交わした約束を、
カイが破ることになっても。
俺は、それでもいい。

カイには、佐久間だっているし。

でも。

でもさ、俺にはカイしかいねーから。
それだけは、分かってて。

もしカイが俺のこと好きじゃなくても
今度は俺が、カイを追っかけるから。

でもやっぱり、もし俺が今ここで
1つだけ欲張りを言えるとしたらさ。

カイに、ずっと待っててほしい。
どこにも行かないでほしい。

欲張ってごめん。
無理言ってごめん。

でも、これが俺の気持ちだから。

絶対、カイに相応しい男になって
日本に帰るから。

待ってろよ。


By, Yu Kirishima