「ね、あの人かっこよくない?」

「え、どの人??」

「ほら、あの門の前で立ってる――あ、こっち見たっ」


結衣(ユイ)の言う通り、校門の前には一人の男子生徒が立っていた。

その彼が、こちらを向いてにっこりと微笑んだのだった。

その彼をかっこいいと言っている結衣の隣で、私は一体どんな顔をして立っていたんだろう。

きっと、すごくフクザツな表情をしていたと思う。