昔から、動けないまま

冷たい氷の玉座に座って

振り払わずにいた蔦が

じわじわと、体の自由を奪う

いつの間にか何も映さなくなって

ただ刻が過ぎるのを待っていた

色褪せていく世界を

真っ黒に塗り潰したあの日

あの時、あの場所で出会ったのは

きっと、奇跡って呼ぶんでしょう?



龍神鬼

遥か昔、戦が始まり、この世は妖の支配となる。

人は龍と契約し、力を与えられん。

水に新約し、風に約束し、火に誓約し、雷に制約す。

月より現れし龍は心の深みに光を落とす。

金色の龍の使いを崇めん。

深窓の月は、幻想を朱で描き、泡沫の盃を渡さん。

金空の刀で空を舞い、地上を闊歩する。

我らの始まりに祝宴を。

終焉の妖は告げる。

我、幾度となく目を見せん。

終わる刀は空へと昇る。

玉は鬼の心臓の奥深く。

刀の名を龍神鬼。

永遠の眠りから解き放たれた刀は

全てを告げん。