屋根からでも星は見えるけど、それじゃない。
俺たちが目指すのは、
もっと高い場所。別の場所。
屋根伝いにあいつの家に移り、らせん階段を使って下りていく。
なんでらせん階段があるのか。
あいつの家には、2階でバーベキューとかしたりできるスペースがあるから。
もちろんこの抜け出し方を考えたのはあいつ。
『上手くいったろ?』
そうささやき、クスクス笑う。
いたずら好きな子供全開で。
『声は抑えろよ』
『わーってるよ』
足音をたてないようにそっと、地面に足を下ろした。
そのとき、
「っ、?!」
グイッ!
あいつが勢いよく俺の手を掴み、そのまま転がるように走り出した。