桜が舞う四月の始めに私は
生まれたという。
以前母から生まれた時の話を聞いた。
希望を持って生きて欲しいとの願いから
のぞみ、
なんとありきたりな名前だろうか。
私は特に意味づけられた名前が嫌いだ
それに沿って生きていかなくてはならない気がしてしまう。
人生は、希望に溢れている訳でも
絶望に溢れている訳でもなく、
二つが上手く天秤に掛けられて成り立つものだと父は語った。幼い頃の私も
その通りだと言わんばかりに頷いたのを今でも鮮明に覚えている。