「面倒だねえ」 間延びした声で彼女は言った。 「一体誰のせいだと思ってるんだよ」 「え? 私のせいだって言いたいの? ひっどいなー」 とんだ濡れ衣だよー、と言いながら、彼女はけらけらと笑っていた。 おそらく彼女は幹事というものを甘く見ていたのだろう。 だから今こうして僕達が会場設営に汗水を流していることは、彼女にとっては大きな誤算というわけだ。