すると笹川くんが感心したようにうなずいた。

「へぇー、そうなんだ。どうりで上手いはずだ。」

「ねえねぇ、そんなことよりもさ‥。」

そう言ってまた別の話題で笹川くんのグループは盛り上がり始めた。


笹川くんのグループはとてもクラスメイトから人気があった。


私はいつも朝のホームルームが始まる前は音楽室に行き、ピアノを弾いていた。


そんなある日。いつものように弾き終えた私は朝のホームルームが始まる前に教室に戻った。
戻ろうと、教室に差しかかったとき‥。

急に教室から人影が現れた。

ドンッ!

私は避けきれずにその人とぶつかってしまった。持っていた手から楽譜が滑り落ちた。

バサッ!

楽譜が散らばる。

あわわわわっ!!

私は慌てて拾い集めた。

「ご‥ごめん!!」

そう言って手伝ってくれたのは笹川千明だった。ぶつかったのも笹川くんだと理解した。

集めるだけ集めると笹川くんはそのまま廊下の向こうへ走り去ってしまった。

ど‥どうしたのかな笹川くん。いつもと様子がおかしかったな‥。