「結ちゃん、じゃがいもどうなってる?」
「あ‥あと‥もうちょい‥で‥できた!」
それはいびつな形をしたじゃがいもだった。
「‥ごめん。」
結ちゃんが申し訳なさそうにあやまる。
「いいよ。気にしないで。形は変でも味は一緒だから。」
「花音。ナイスフォロー!」
結ちゃんは親指を立てて言った。
それを見た私は笑った。
私はじゃがいもやにんじんを鍋に入れていた。
ここで私はあることに気づいた。
「ねぇ、結ちゃん。今更なんだけどいい?」
「ん?なあに?」
「‥カレー粉がない‥。」
「えっ!?」
私と結ちゃんの間に沈黙が流れてしまった。
そして沈黙を結ちゃんが破った。
「もうっ!何、やってるのよ花音たら!!花音てもしかしておっちょこちょい?」
見ると結ちゃんは怒るどころか笑っていた。
私もつられて笑ってしまった。
「じゃあ私、カレー粉買ってくるね。結ちゃんは疲れてるだろうしゆっくり休んでて。」
「ありがとう。私は留守番してるね。」
「うん。では行ってきます。」
そう言って私は玄関を出た。
一人になった結は部屋のソファーに腰かけていた。
花音はこんなに静かなところでずっと一人で過ごしてたんだ‥。どれだけ寂しかったのかな‥
そんなことを結が思ってると電話がなった。
プルルルルルルルル
あっ‥どうしよう。花音、出かけてるし‥とらない方がいいよね?
プッ‥‥
電話が切れて今度は留守電に切り替わった。
花音の家、留守電入るようにしてるんだ‥
電話からは陽気な女性の声がした。
「ハロー!花音、元気?お母さんとお父さんはあいかわらず元気だよー!」
「もしかして、花音のお母さん?」
結はつぶやいた。
「花音。たまには連絡ぐらいしなさいよ。お母さん寂しいわ。かわいい花音からの連絡がなくて。ところであの留学の件、考えてくれた?まだかな?花音の気持ちが聞きたいからまた連絡ちょうだいね。じゃあ、またね!」
そう言うと切れてしまった。