夏休み


終業式の日。私と結ちゃんは屋上にいた。

「‥‥で、千明の返事はどうしたの?」

結ちゃんが聞く。

「‥‥まだ考えてる。どうしたらいいか分かんなくて。」

私は本気で悩んでいた。私は本当に千明くんのことが好きなのか‥。わからなくなっていた。

告白から3週間が立ち、テストなどを受けているうちにあっという間に終業式を迎えてしまった。

「花音、こういうの初めてて言ってたもんね。まぁ幸いにも千明はマイペースな方だしゆっくり考えたらいいよ。」

結ちゃんはいつも私が頑張れるような言葉を言ってくれる。

「ありがとう結ちゃん。」

「悩み多きお年頃だからね。あっ!そうだ。花音、夏休みは暇?どこかに行くの?」

結ちゃんが聞く。

「どこも行かないよ。やることもないし結構、たいくつかな。」

「だったらさ、お泊まり会しない?私と花音で。」

「お泊まり会?」

これまた初めて聞く単語だ。

「そう。1泊2日のお泊まり会。私は高校から許可もらったんだ!それを早くやりたくて‥ねぇ、やらない?」

お泊まり会か‥。楽しそう!

「うん!いいよ、やろう!!」

「やったー!!じゃあ、誰の家でする?」

「それなら私の家はどうかな?私の両親、海外を飛び回ってるから家にはいないよ。」

「そうなんだ。じゃあ、花音の家にしようか。いつにする?」

「結ちゃん、部活の大会とかあるからそれが終わってからにしよう。‥8月とか?」

「一応、8月にしておこうか。まだ部活の日程とか分かんないから、また連絡するよ。」

「わかった。お泊まり会楽しみにしてるね!」

「うん!たくさんお話しよう!」

私と結ちゃんは二人で笑いあった。



私は結ちゃんと屋上を出た。


「花音はこれからどうするの?私は部活歩けど‥。」

「私はちょっと、音楽室でピアノをひいてから帰るよ。じゃあ、また連絡待ってるね!」

そう言って私は結ちゃんと別れた。




お泊まり会、楽しみだなー。夜通し話してみたいな。何を話そうかな?

そう思いながら私は誰もいない音楽室でピアノをひいていた。

すると‥

「何か、いいことあったの?」

その声に私は思わずひく指を止めてしまった。

振り返るとそこには笑顔の千明くんがいた。
千明くんとは告白されてからも一応は普通に接するようにしていた。