寒い…と感じたのは死んでないからなのだろうか。「なん…で」どうして目が覚めているのだろう。「死ななかった?記憶も残ってる…し」はぁ…と大きなため息をついた。上を見上げた。(確かあの廃墟のビルから飛び降りたからこの高さなら消えるはずなのに…)腕は血だらけだった。足はか擦り傷があるくらいで歩ける。寒いと感じたのは雪が降っていたからだ。辺りは薄暗い。少し怖いが関係ない。眠れば消滅するだろう。私は迷わず寝転んだ。涙は止まらない。感情をなくしたかった。そうしたら辛くなかったのに、だって何も感じないから。「どうしたのですか、こんな所で。」(ーえ?)目を開けると私を見下ろす人がいた。ランプの灯りが眩しい。「だれ」私は起き上がりその人を見た。「僕ですか。僕は雪です。」彼は綺麗だった。白い肌に透き通るような目。声までも聴いてるだけで落ち着く。服装は民族衣装みたいでよく分からない。だけど怖い人ではなさそうだ。彼はしゃがみ私に視線を合わせた。「あなたはなんという名前なのですか」ランプを無駄に近づけてくる。(ま、ぶしい…)「私は…澪」視線を合わせないで呟いた。「わかりました、澪ですね。あなたは何故こんな所にいるのですか。何故血を流して寝ているのですか」彼は驚くこともせず無表情で続ける。「あなたが座っているところに血が滴り落ちていますね。」「……」「…わかりました。ついてきてください。」彼は血まみれの私の腕を遠慮なく掴む。「ちょ…離してよ。触らないで。」「わかりました」彼はすんなり離してくれた。「何故驚くのですか。話してと言ったのは澪でしょう」