不平等だ、と思った。自分の人生に不自由を、そして満足している人は幸せだと思う。出来ることならどうせ生まれるなら美人で生まれたかった。優しく一緒にいて楽しいような両親がよかった…。けど、今更願ったって仕方ない。そもそも、もうどうでもいい。私は今までの思い出を忘れたかった。いや、無かったことにしたかった、記憶の中から消したかった。だから「サヨナラ…」誰にも聞こえないくらい小さな声で微かに微笑みながら私は足を空中に投げ出した。学校の屋上から飛び降りたとかだったらすぐニュースになるだろう。だけど、別に騒がれたいわけじゃない。見つかりたくないから私は自分でもわけがわからない所から飛び降りた。バスと電車で出来るだけ遠くに行き、知り合いには会わないようにした。私が消えても日常は特に変わらないだろう。もしかしたら友達は泣いてくれるのかも知れない。だけど、家族は無いだろう。私には妹がいる。頭がいい為成績もよくスタイルもよく周りからいい対応をされている。確かに彼女は努力をしている…人以上に。彼女には敵わないけど、私だって努力はしている。だけど誰も私を認めなかった。いつだって妹しか認めない。むしろ叱られるばかりだ。友達はいるけれどかなりの一部は「キモ」「死ね」とか言ってくる。そのせいか今いる唯一の友達も疑いつつある。キモイというのは顔だろうか。性格だろうか。おそらく顔だろう。そんなの私に言われても困るだけだ。生まれる時に顔なんて選べないのに分かってるのに胸に嫌に刻まれ続ける言葉、記憶。死ねはそのままの意味だろう。精神的に来ている私にとっては限界だった。家でも学校でもストレスが溜まる一方でどうしようもなかった。最初は学校は楽しくて仕方なかったのに噂のせいで全てが崩れ落ちた。好きでもない人を好きという噂が流れてすぐ終わるだろうと思っていたのにずっとずっと卒業するまで酷い扱いというか対応というか…たったのそれだけの嘘の情報のせいで私は自分をなくした。どうして廊下を歩くだけでキモイなのか。いるだけで笑われるのか。思い出すだけで嫌になってくる。もう誰も信用しない。信用なんか出来ないしない方が楽だ。全てが無価値なんだ。意味がない。もういい生きていたくない。そう思った。文字では表現出来ないほど本当に辛かったし嫌だった。「…あは」涙が頬を滴るのが分かった。そう、きっと私は誰かに必要とされたかったんだ。認められたかったんだ。幸せだと…感じたかったんだ。そう思った時には意識がなくなっていた。