カーテンの隙間から眩しいくらいの光が入ってくる頃にスマートフォンのアラームが鳴る。
ベッドから起き上がるまでに時間はかかるけど、目覚めは毎朝いい方で二度寝には至らない。
朝食はとらずに、身支度をする。
制服のリボンをどこに置いたっけ、と探しながら紺色のソックスを上げる。
夏服に衣替えしたのは、まだ記憶に新しい数日前。
非常に蛇足ではあるが、リボンを探すのは毎朝恒例で衣替えによるものではない。
そしてもっと関係ないのが、毎朝ながらなぜ所定位置に置かないのか。
正直、私にもわからない。
ちゃんとリボンは制服のポケットに腕時計と一緒にあった。
入れたときの事が思い出せないけど、入ってるって事は自分で入れたのだろう。
私は更科 和。(サラシナ ノドカ)
少し名前が出てくるのが遅かったけど、忘れてたわけじゃない。
その辺の一軒家よりは、少しばかり見栄えのいい家で育った。
そんな事を自覚したのは、友達が遊びに来た時かまたは行った時か。
トントンッと一定のリズムを刻みながら、
階段を2階から1階へと降りていく。
スクールバックを玄関の段差に落とす。
(あ、鍵忘れた)
いつも適当に部屋に投げ出すから、鞄には入ってないだろう。
(昨日、帰ってきてからコンビニ行ったし)