私には姉がいる。




何処に出しても恥ずかしくない、自慢の姉。







そう思っているのは親バカな両親だけじゃない。










いつだって私は二の次で、比較される訳でもなく期待される訳でもなく。




姉よりは総合的に劣っていて、飛び抜けて良い要素もない。





そんな私を周りは、嫌う訳でもなく可愛がるはずもなく。












【出来のいい姉と普通の妹、そこそこ仲のいい姉妹】



そう、最初はそうだった。












生まれて数年間は幼さから憧れるような、普通の姉妹関係だった。




数える年が増え、次第に自分と姉との差に気がついた。










【笑顔の絶えないお姉ちゃんと、人見知りするようになった妹】


自分の耳で聞いた言葉で。









それから数年、周りの評価は愛想の良い"姉妹"になった。



誰かの取り繕った、固められた様な笑顔に誰も気が付かなかった。











時が経つに連れ、姉の長所が群を抜いて目立ち始めた。





学年の中で頭がいいと言われるようになった姉。


姉の同級生からその親に話がいき、近所でもいい子だと噂されて。





そんな姉を、周りはここぞとばかりに褒めた。








 
そして目が変わった。



【お姉ちゃんは凄いわねぇ、のどかちゃんもそのうち、ねぇ?あははは】






そう!髪が綺麗よねぇ!




取り憑かれたように褒め言葉を探し、苦し紛れに絞り出したような一言。








思いやりのない言葉に、私は部屋で崩れた。


不思議と、涙は出なかった_____。