「そうだ!
今日ね、新しいお菓子買ったからさ後で食べようね」
「うん、めっちゃ楽しみ。
私もね、新しい味のお菓子持ってきた」
佳織は朝からお菓子の話をし始めて、甘い物が好きなんだなって思う。
私も好きは好きだけど、佳織の場合は既製品のお菓子の話だけじゃない。
自分で作ったりもしてるみたいで、写真も見せてもらった事がある。
機会がなくて食べたことはないけど、どれも美味しそうだった。
家庭科部なんて女子力の高い部活に入っていて、
作るのも食べるのも好きらしい。
「今度ね、部活で裁縫やるんだって。
無理だなー、上手く作れない」
料理もお菓子作りも出来て、手先も器用なのに裁縫だけは苦手らしい。
手先が器用なだけでも凄いことなのに、彼女はそれじゃあ満足しない。
(苦手だと言うけれど、私は上手だと思う)
私がどれだけ不器用なのか、って話になるから嫌だけど。
「そうなんだ、何縫うの?ミシンとかで作るやつ?」
「トートバッグだよ、ミシンで作るの。
授業でも作ったよねって思う」
私の質問に答えつつ、愚痴のようにこぼす佳織。
まあ作ったは作ったけど、サイズとか柄とかデザインの問題なんじゃないか。
「お菓子作りは力入ってるのに、裁縫は適当?復習?な所があるんだよねぇ」
苦手だから助かるけどさぁ、と言うけど声が不満そう。
"これじゃあ練習にもならないし上達もしないよ"って思ってるんだろうな。