「誰のこと、関わりある人いたっけ」
「アンタじゃなくて、私だけどね。
ほら、去年委員会だった時の」
ああ、玉子焼き美味しい。今日はだしか、美味しい。
たまに、甘いのとだしの時がある。
(じゃなくて、なんだっけ。)
「去年の佳織の委員会の先輩...。
ああ!佳織の好きな人か。そっかよかったじゃん」
「別に好きなわけじゃないけど、仲いいだけだし。
先輩、美人な彼女さんいるし」
そう言えば、そうだったっけ。
それで告白しないで、吹っ切ったとか言ってたか。
私には名前も覚えてない先輩の話は、
たいして興味はなかったけど何度か話に聞いていた。
「なんか用だったの?
話しかけるって珍しいね」
「なんだかね、元気ない感じだったから気になっちゃった」
私も一度くらいは見かけた事があったけど、明るい人だと認識していた。
あとは去年、委員会終わりの佳織が話しかけていた時に一緒にいたくらい。
まあ最近じゃないし、その時がたまたまだったのかもしれない。
「はぐらかされちゃったけどね。
そうそう、これ食べる?」
いつの間にか、お菓子を手にしている目の前の彼女。
食べ終わって無いくせに、お菓子を渡してくる。
しかも、私の好きなやつ。期間限定の。
「そっか、何かあったのかもね。
食べるー、今日お菓子持ってないから今度あげる」
今日は適当に荷物をつめてきたから、物が少ない。
たまにお菓子を持ってくるけれど、
佳織が手にしてるようなかさばる箱菓子は持ってこない。
ご丁寧に、箱の中のお菓子を包んでいる袋を開きながら手渡してくれる。
お礼を言いながら、ひとつ頂戴しておいた。