どんな人だったのだろう?

小さい頃から大人びていて、本を読むのが好きで、それから・・・

少女は空想する、母から聞いた少ない情報と一枚の写真を頼りに。
中性的で綺麗な顔立ち、しかし何処か儚げな雰囲気の青年と若かりし頃の母が写っている。

父さん・・・私も会いたいよ・・・

それが叶わぬ事だという事、少女はその事を嫌という程に理解している。

しかしそれを望まずにはいられなかった。

父の事を聞くと辛そうな表情をする母、今日の様にお酒が入っていなければ断片的な話しですら聞き辛い。

ベッドの中で空想に耽りながら眠りに就く、それはよくある事だった。
そうしてその日も少女は父の事を考えながら眠りに落ちた。