「ただいまぁ~」

「お帰り」

「うえ、ごめん水持ってきて」

「全く・・・飲み過ぎは良くないよ母さん」

「ごめんごめん、気をつけるよ」

「会社の人との付き合いも大変みたいだね、本当にお疲れ様」

「うう、こんな母親で申し訳ない」

「ううん、母さんは偉いよ」

「あんたは本当にあの人に似てきたね、怖いくらいに」

「父さんの事?」

「うん、あの人も若い時から凄く大人びてたんだ」

「会って一度話してみたかったな」

「・・・私も・・・もう一度会いたい」

「・・・今日はもう寝なよ」

リビングでぐったりとしている母親に肩を貸し、寝室へと連れて行く少女。
母のいなくなったリビングのソファで、少女は読みかけの本を手に取る。

「父親・・・か」

少女はそう呟くと本を閉じ、電気を消して自室のベッドに潜り込んだ。

そして少女は今は亡き父の事を考える。