「私が、本来行かなきゃいけない場所...?」

「うん。君が行かなきゃいけない場所。」

そう、信条陸は繰り返した。

ふわっと前髪を風がゆらす。

「なんで、行かなきゃいけないの?」

「僕らが、超能力者だからだよ。」

一瞬笑いそうになる。

「なにいってるの。あんたイケメンのくせに、中二病?!笑っちゃうわ。」

信条陸は真顔で、

「本当だよ。」

と言ってズボンのポケットに手を入れた。
するり。
出てきたのは...

「私のスマホ?!なんで?!」

信条陸はニコッと笑って

「言ったでしょ、本当だって。」

私は後ずさる。超能力?そんなものがあるの?手品とかなんかじゃなくて?

「手品じゃないさ。ホントのことだよ。じゃあこのスマホ返すね。」

そう言った信条陸の手の中のスマホがすうっと消えていく。そして気付けば、私のポケットの中にあった。