逃げようとする明菜。
だけどそれを魁が許さない。
「逃がすと思ってんのか?絶対に許さないって言っただろ」
「……った‼離してよっ!写真ならそこにあるでしょ!?」
ぐっと明菜の手首を強く握りしめているのか、明菜はブンブンと手を振って抵抗している。
机の上に置いてある私の写真を指さしてみても、魁は何の反応も示さない。
「そういう問題じゃねぇよ」
魁は明菜の腕を引っ張ると、壁に押し付けた。
いくら魁が力を手加減しても、女にとってはそれはすごい力なんだろう。
明菜は後頭部を押さえて魁を見上げている。
「謝れよ」
そして今度は地面に膝をつけるように明菜の体を押した。
「今までのこと全部、片桐に謝れ」
明菜と目が合った。
「何で私がこんな女に謝らなくちゃいけないのよ……っ」
キッと鋭く睨み付ける明菜。
その瞳には、うっすらと涙が見える。
「お前が片桐を苦しめてきたことは事実だろ。写真のことだってそうだ。だからちゃんと謝れ」
悔しそうにしているものの魁の力には叶わず、明菜は素直に地面に両手をついた。
「ご、ごめんなさい……」
怯えているのかそれとも怒りでか、明菜の声は震えている。
私はどう反応したらいいのかわからなくて、じっとその姿を見つめていた。
「謝って解決することでもねぇけどな。二度とこんなことするんじゃねぇ‼」
魁の怒号に、顔を覆って涙を流す明菜。
それが本物なのか嘘なのかはわからなかったけど、魁は明菜から離れて私を見た。
「どうして……ここに来た?」
「それは私のセリフだよ」
こんな無茶して、本当に心配したんだよ?
でもとりあえず、無事でよかった……
「俺は、そりゃあ……お前を守る為だよ」
ほんの少し、照れくさそうな魁。
頭を掻くと、ピクッと顔を歪ませた。
「って……‼」
「大丈夫!?そんなケガしてるのに引っ掻いたら痛いに決まってるでしょっ!」
「あはは……そうだよな。忘れてた」