「俺、昨日……酷いこと言って……」



昨日?

ってことはやっぱり。


「もしかして、ずっと気にしてたの?」



胸を上下させながら、魁はすっと背筋を伸ばすと私の手を離した。



「ずっと引っかかってて……謝りたくて……」



じゃあ今日何か言おうとしてたのって……このこと?


その為にずっと元気なくて、わざわざ走ってきてくれたの?


そっか……



「……ふふ」



笑っちゃ失礼なのに……考えると止まらない。

魁に背中を向けて必死に堪えた。



「……何で笑うんだよ」


「ごめん、だって……ビックリして……」


「何が」



ムッと不満そうな顔を見て、私は更に笑みが込み上げてきた。



「わざわざ謝るために必死になって走ってきてくれて、元気ないのもずっと考えててくれたんでしょ?それが私にとっては凄いことだなぁって思って」