「あ……」
パッとどこかに目向けたのは瞳。
視線の先には、明菜。
もちろん……明菜の目の前には魁。
またか……
あの高い声を聞かなきゃなんないと思うと、ホントに嫌になる。
「おはよー魁くん」
私は黙って耳を傾けていた。
……あれ?いつもの元気な声が聞こえない。
「魁くん?」
「あ……おはよ、明菜ちゃん」
弱々しい声。
チラッと魁を見ると、魁はいつものように笑顔で明菜と接している。
だけど……何だかその笑顔は、寂しそうに見えた。
「?」
ずっと魁を見つめていたら、ふいに目が合って慌てて顔を背ける私。
今の、不自然だったかな……
彩葉たちの会話に、無理矢理入って気を紛らわそうとした。
「じゃあ行くから」
「え?もう行っちゃうの?」
「うん。次の授業体育だし」
「そっか、頑張ってね」