「早く行かないと、待ってるよ？」


こんなことで悩む必要なんかないのに……

笑ってそう言って、私は教室に戻った。



結局、行った意味なかったな……





「おかえりー」


嬉しそうな彩葉。


やば……彩葉の存在忘れてた。



「どうだった？」


「あ……それがさ、友達と遊んでたみたいで、呼びだせなかった……」



嘘をついた。

後ろには瞳と逢織もいるし。


余計な心配はかけたくないから、魁とのことは言わないでおこう。



「そっかー、残念」


「ごめん、また言ってみるね」


「ううん。私こそ無理言って頼んだんだし、いつでもいいよ」


「ありがとう」



彩葉優しいな……


彩葉の為にもやっぱり魁に言わないと。

私の為じゃなくて、彩葉の為に。




「……桜綾？」


「え？」






「今日……元気ないね？」