「隼人ー、聞いてんの? なにぼけっとしてんだよ」
先を歩く侑介が足を止めて振り返る。
「なんか顔、ニヤけてるぞ」
「なんでもない」
「なんでもなくないね! 絶対麻由ちゃんのこと考えてたんだろ」
不躾に詰め寄る侑介から俺は無理やり顔をそらした。
「…うるせえな、もう行くぞ」
「あっ、こら、逃げんな! 最近全然近況報告してくれねーじゃん!」
「だから、バイト帰りは送ってるって」
「で? その次は?」
ひっついて隣を歩く侑介を見ると、やたらときらきらした目を俺に向けている。
なんでこいつ俺より楽しそうなんだ……………ん?
視線を上げると、いつの間にか馬鹿騒ぎしていたはずの龍と彰も俺をガン見状態だった。
「……」
「隼人くん、みんな気になってしょうがないんだよ。ね?」
侑介の言い聞かせるような言い方に後ろの二人もうんうんと頷く。