「これ、やる」


「え?」



ポッケからだしたチュッパチャプスをやると、彼女は信じられないものでもみたようにさらに驚いて俺のほうを二度見する。


「えっと…これは…?」


「アイス落とさせたお詫び。なんかすげー悲しそうな顔してたから」


「か、悲しそうな顔!?」



足元に落ちたアイス。


俺のせいで落とさせたんだし、飴はその代償のつもりだ。



つってもまさかほんとにこれを使う日が来るとは…。


後で侑介に礼を言わなきゃな


なんか腑に落ちないけど。




ふと視線を外して暗闇の道の奥に目をやると、何かがこそこそ動いている。



なんだ…?


だれかいるような…




そしてその人物を確認してため息が出そうになる。



あいつが来てるってことはすぐ他の奴らも来るんじゃねーか。




「あ…っ」


後ろで彼女が声をかけるのを聞きつつも、まずそっちの対処をしたくてすぐに俺はその路地を進んだ。