あの日は、いつもならとっくに現れてるはずの時間を過ぎても姿が見えなくて
仲間たちと駄弁りながら、心中はそのことばかり考えてそわそわし続けていた。
もしかして今日は通らないのか。
もしくは俺が見てなかっただけで、もう通り過ぎてしまったのか。
いや、見逃すはずはねえし
もしかしたら何かトラブルに巻き込まれてんじゃ…。
いろんな思考が巡り、悩んだ挙句に俺は立ち上がった。
「隼人、どこ行くん?」
「ちょっと散歩。すぐ戻る」
ツレにそれだけ言い残して俺は早足で騒がしい人混みに紛れていった。
探すとはいうものの、あいつがどこから来るのか、どこに行くのか全く知らない。
無意味に街中を歩き回るだけじゃ見つけられるはずがねえ。
危ないとしたら人気のないところだ。
「……勘で行くか」
目に付いた路地を曲がって暗い道に足を踏み入れる。
ここを通ってる根拠なんて何一つないけど
でもなにかしら動いてないと気が焦ってしょうがない。
今頃どっかの野郎に捕まってないだろうな…
不安が増していき知らず進む歩速が速くなっていく。
と、電灯がある角を曲がろうとすると
同時に向こうからも人がきて思いっきりぶつかった。