「なぁ、隼人ー。最近なに悩んでんの?」
いつもみたいに夜の繁華街をぼうっと眺めていると、視界が横から入ってきた侑介の顔でいっぱいになった。
「…なんだよ」
「話しかけてんのに、心ここにあらずなんだけど。なに、なんかあったん」
するとまた横から、今度は彰が俺の隣に寄って肩を組んで言った。
「あれだよ、侑介。恋煩い」
は?
いきなり何を言い出すかと思えば、案外核心をつかれて俺は目を丸くした。
「ばか、おまえ、隼人は女嫌いだろが」
「だってさ、こんなに静かな隼人なんて初めてだよな? キレてるわけでも疲れてるわけでもない、ただ毎日何か考えてるみたいにボケっとしてるなんてらしくないだろ」
うんうん、と龍も侑介も俺を見ながら正直に大きくうなずいている。
「らしくない、つまり今隼人は、らしくねーんだよ。こいつのらしくないことっていや、女関連しかないっしょ」
なるほど。
ここにいる誰も、俺もが彰の推測に納得した。
「お前にしちゃずいぶん上手いこと言えてるな、彰。恋煩いなんてムズカシイ言葉よく知ってたな、バカだから知らねえと思ってた」
「そんくらい知ってるわ!!」
龍の一言に突っかかり、いつものごとく二人の取っ組み合いを始めるのを横目に、侑介はあきれ声で連中を向こうへ押しやりながら、もう一度俺に向きなおった。。
「で? 隼人。話してみ、長い付き合いの俺によぉ」