歩く速度もゆっくりで、何度か目じりを擦るしぐさを繰り返していた。
こんな夜中に制服で歩いて、繁華街には不釣り合いな雰囲気の女だな…。
そのうちつかまっちまうぞ、と遠くなっていく彼女の姿を見送りながらそんなことを思った。
そして次の日。
いつものように侑介たちと路上で駄弁っていたとき、ふと目に入った姿にぴくりと体が反応する。
またあいつだ。
今日は普通だ。泣きそうでもない。
でも周りをきょろきょろさせて落ち着かない。
本人もこの道が場違いなのに気付いているのか、少し不安げに眉をひそめながら歩いている。
不安ならここ通らなきゃいいのに…、あいつ無防備そうだし、捕まったらたぶん逃げらんねーだろ。
彼女の周りに視線を巡らすと、やっぱり何人か見ている連中がいる。
「……ッチ」
無意識にでた舌打ちに、そばにいた仲間たちが怪訝な顔を向けてくる。
「なに気ぃ立ててんの、隼人クン」
「…いや、わりぃ」
自分でもなんでかわからない。
だけど彼女に無粋な視線を向けている連中に無性にイラついた。