無性に泣きたくなった。
なんだかもうよくわからなくなってきた。
あんな場面、見なければよかった。
確信しかけていた自分の気持ちにも、隼人くんのことも、振出しに戻ったみたいに真っ白になる。
隼人くんが私に向けてくれた言葉も、薄暗い靄(もや)みたいにあいまいなものに感じてしまう。
冗談で言ってるようには思えなかった。
だから私だって散々隼人くんのことだけで毎日振り回されて。
……ううん、違う。そうじゃなくて…!
私は走りながら頭を振った。
話をあいまいにしてるのは私。
動いてないのは私だけだ。
臆病で、隼人くんに頼ってばっかりで、自分の思いなんて何一つ伝えてない。
こんなすっきりしない関係をつくってるのは私なのに
あの女の子にやきもちやいたりして、身勝手すぎる。
「…………っ」
日曜日のデート、ついさっきまで浮かれた気分で舞い上がってたけど
今はもう、沈んだ心に追い打ちをかけるものとなってしまった―――。