「藤崎くんの趣向をちょっとばかし探らなきゃね」


「趣向?」


なんだか下品な響きというか、それはゆっこがハンターのような目つきで今か今かと彼が現れるのを待ち構えているから、そう聞こえるだけなのか。


「どんな人と話すのか、どんなものに興味を示してるのか。しっかり拝見させてもらいます。だぁーいじょうぶ、あたしがカレの好みをしっかり見抜いて、デートではカンペキなドレスアップしてあげるから!」


ゆっこはパチッとくっきりした瞳の片方をつぶってウィンクして見せる。


ほんっと…この恋愛エキスパートさまの行動力には驚かされるなぁ…。


私は感心しながら、真剣にアドバイスをくれようとしている友人には頭が上がらないと思った。


「城西って結構かっこいい人多いんだよねぇ、さすがにちょっとワルな高校だけあって怖そうな人も多いけど」


「うん…」


確かに校風は清潔というより、少々荒っぽい雰囲気がある。


女の子も男の子もどこかしら制服をいじって着こなしている。



隼人くん、いつもここに通ってるんだ…。


つい、まじまじと学校を見渡していると、

ちょうど正面の校舎の玄関から、数人の学ランの塊が出てきた。



「あ!」