「…麻由、ほっぺたが大福みてえだよな」


「だ、だいふくみたい…?」



それって遠回しに太ってるってことじゃ…



「ほんと。食いたい」



「え、大福?」



「お前ごと」



え。


声を上げるより早く、隼人くんはすっと顔を寄せてその形のいい唇を私の頬にくっつけた。



ざわざわとした町中のノイズに紛れて、耳元にかすかなリップ音を聞いて一気に顔に熱が集中していく。




「……、真っ赤すぎ」



間近なまま、私の顔をのぞきこんで楽しそうに笑う。


昨日から、私は隼人くんの性格を探り続けているけど


なんとなく今日、今、わかったかも…




「隼人くんて…いじわる……?」



微妙な疑問符をつけてつぶやくと、目の前の彼は「さあ?」と含みを持った言い方でまた微笑んだ。