「じゃあ…1時間半くらい待っててくれたの?」
「別に退屈しなかったし、麻由の和服見れたからいい」
あっという間に大福をたいらげて、指についた粉をぺろりと舐める隼人くん。
そんな仕草もサマになっていて思わずじっとみつめてしまった。
「客多くてあんまじっくり見れなかったけど」
「ご、ごめんね。もっと早く切り上げてくればよかった…」
「いいよ、大福美味かったから」
繁華街に差し掛かり、暗く静かだった雰囲気から一気に辺りがにぎやかになる。
今日も相変わらず人が溢れて騒がしい。
昨日の一件から、まだ少しこの道に苦手意識があった。
やっぱり隣に誰か一緒にいてくれるだけで安心する。