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外へ出た私たちは、お互い何もしゃべらないまま
にぎやかな街を進んでいた。
私はただ隼人くんの後をついて行ってるだけだけど
隼人くんはどうやら、どこかへ向かっているみたいだった。
どこにいくんだろう。
気になったけど、声をかけるのがなんだか恥ずかしくて黙って隣を歩いた。
――やはり今日の街はカップルばっかりだ。
服のお店の前で真剣に話し合っている学生。
男性のほうはスーツで、女性のほうは普段着で歩くカップル。男の人のほうは仕事帰りなのかなぁ。
みんな笑っていた。
私は隣を歩く人を意識して、でも顔は上げられずに歩き続けた。
恋人同士…
両想い…
信じられない。
嬉しい、けど、驚きと照れくささと恥ずかしさで、なんだか前より距離ができたような気がするのは、一瞬の錯覚なんだろうか。