「最悪だよ……。最初は仲間割ればっかりで、霧雨もしつこくて、煩かった」



「……うん」




最初は弱い自分を隠していた朱美だけど、今では、少し丸くなり、優しくなった。





「お前はしょっちゅう泣き出すし、霧雨はいきなり大人しくなる。おまけに、あの絵の事も教えちまった」



「…………うん」




理科のノート事件。


昔、いつだったか忘れたけど、悠真が見せてくれた絵は、酷かったなぁ。





「勝手にリーダーにしといて、責任押し付けて。かといって上手くいったら、皆でワイワイ騒いで。俺が生きてたら、お前はちゃんと泣いてくれた……」




悠真の肩が、遠くからでも分かるぐらいに震えて、嗚咽が聞こえてくる。




「…………どこが、最悪だったの?」




私が聞くと、悠真は涙で顔を濡らしながら、振り向いて答えた。