鍵が回る音が一度だけして、私達はすぐに、ドアの方を凝視した。




「何……?」




無意識のうちに、震えた声が口からこぼれる。




そして、微かに開いたドアの隙間から、地面を這うようにして、黒い影が伸びて。



白目を剥いた顔が、音もなく教室に入り込んできた。







「いやああああああっ!!」




心臓が早鐘を打ち、息が苦しい。





「どわっ!!先生ッ!?」




悠真が驚いて、腰を抜かしていた。





顔を上げるとそこには、保険の先生──池上(いけがみ)先生が立っていた。