「朱美、ちょっと待っ───」
もう一度名前を呼んだときには、朱美の顔は、いつも通りの、一点の曇りもない笑顔に戻っていた。
「ね?だから、もう変更できません!」
違うの。そうじゃない。
私が知りたいのは、そんな事じゃない。責任とか、変更とかじゃなくて。
「……っ、だって、私は……」
「もうっ。そんな顔しないで。皆がいるんだから、これ以上は泣かないでよ」
どうして、そんなに……朱美は。
悠真が、私たちの会話を断ち切るようにいきなり立ち上がって、ズボンをパンパンと叩いた。
「よし!夏仍も結構元気になったし。そろそろ相談室に入るか」