「それじゃ、入るとするか」



悠真が美術室のドアに手をかけたとき、私はそおっと手をあげた。



「……あ、私、ちょっとお手洗い行きたいんだけど」



「アタシも」と言って、朱美も私のとなりに立った。



我慢してたから……なかなか言えなかったんだよね。たぶん、朱美も……。



「あ、俺もー」



ノリかは分からないけど、何故か轍も。



「じゃあ、俺はここで待ってるから。寄り道はするなよ」



悠真は鞄を地面に下ろして、ふぅっと息を吐いた。



「中で待ってなくていいの?」



と、朱美が聞くと、悠真が言いづらそうに答えた。



「それだと、トイレも教室だし……殺されちまうだろ。道連れになるんだから」



ああ、そっか……連帯責任……だもんね。