「え?」



恐る恐る振り返ってみると、そこには、悠真のサブバックが。


えっ?まさか、悠真……忘れて行ったの?




「ちょっと!ゆ、悠真っ!?」



私は慌ててそれを抱えると、皆に置いていかれないように必死で走った。








「夏仍遅いー、って。あれ?」



美術室前の廊下。


朱美が後ろを振り返って、やっと私に気付いてくれた。



「これ、悠真が忘れるからだよ……」



息を切らしながら言うと、悠真は空気を切るようにして手のひらを顔の前で合わせた。



「あー、わりぃ。気ぃ抜いてて」


「しっかりしろよー、リーダーなのに」



轍が笑い飛ばすと、悠真は「うっせーよ」とそっぽを向いてしまった。