「本当に私なんかでいいなら花火、付き合うけど」


「はい決定」


誘ってよかった。これで花火に誘うミッションはクリア。あとは明日、香里に。


このあと浮かれた気持ちを隠し通そうとしたけど、勘のいい真冬に気づかれていつぞやと同じように質問攻めにあったのは言うまでもない。


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来る当日。


昨日より更に人が多くなってるのは、間違いなく打ち上げ花火の場所取りのためだろう。


これだけの人が来るってすげーよな、とか考えつつ香里と約束した場所で待っていると。


「裕貴、お待たせ!」


昨日とは違って私服の香里が片手を上げて走ってきた。白のトップスにAラインのスカートがよく似合っていて。


「まだ待ち合わせ時間の10分前なんだし、そんなに急がなくても」


「そういう裕貴も来るの早かったね」


それはお前のこと考えたら家でじっとしていられなかったからです、なんて絶対言えねぇ。


「たまたま1本早い電車に乗れたから」


「うそ、私はホームが混んでて1本逃しちゃった」