「帯が邪魔して貼りにくいだろ。俺がやった方が早いし」
「そうだけどさ……男の人にやってもらうことじゃない気がする」
「何。照れてんの」
「そりゃ恥ずかしいよ、こんなの」
「でも浴衣着崩れるよりいいっしょ」
「それは……おっしゃる通りです」
紺の巾着から数枚絆創膏を出して『お願いします』とよそよそしく渡してきた。
んな緊張しなくてもいいのにと思いつつ、片膝をついて香里の足首にそっと手を添えた。
「ここらへんでいいよな?貼るの」
貼る位置を確認するためにその部分を指で触れると、香里は『そ、そこ!早くして』と俺の目を見ずに言う。
だからそういう反応されると、イケないことしてるように思えてくるだろ。
日焼けしていない白い足に触ってることや見上げればすぐ近くに香里の顔があるこのアングルも、正直やばい。
「はい、右足完了。次左な」
よこしまな気持ちがバレないように、手早く絆創膏をぺリぺリ剥がして貼っていく。
貼るって言いだしたのは自分なのに、なんだこれ。