「だって……、パ、パパが」


「だってじゃない!……はー、まったく」


口では厳しい言葉を吐きつつも、両腕でしっかりひろを抱きしめている。


「もしかして、紘を本部に連れてきてくださったのはあなた達ですか?」


「はい。たまたま迷子になってたひろ君を見つけて」


「あ、ひろのこともう怒んないでやってください。反省してるっぽいんで。な?」


「……うん。パパごめんなさい」


これで放送しても父親が見つからなかったらどうしようかと思ったけど、ちゃんと再会できてよかった。


「紘のこと、本当にありがとうございました」


「いえ。ひろ君とお話しできて楽しかったです」


「じゃあなー、ひろ。もうお父さんの手、離すなよ」


「おにいちゃん、おねぇちゃんありがとう!」


無邪気な手を振りながら父親と一緒に帰っていった。

はーぁ。どうなることかと思ったけど、一件落着だね」


「安心したわ。結構歩き回ったし、どっかで休もうぜ。お前、足つらくね?」


浴衣を着慣れてないっつーことは下駄も履き慣れてないはずだ。それでこんだけ歩いたら痛いんじゃないか?