「迷子の親探してるのかい?大丈夫か?」


「はい、本部に行こうと思ってるので。お騒がせしました。行こう、裕貴」


「おう」


店員に頭を下げて、今度は本部を目指し足を動かす。


「本部に行くまでの間にちょうど見つかればいいな」


「この人混みじゃ厳しいかもね。今頃お父さんも必死で探してるんだろうけど」


「だよなぁ……。本部にいって放送かけてもらうしかないか」


「うん。放送ならどこでも聞こえるし。ひろ君、もうちょっと待っててね」


「うん……分かった」


腕をぎゅっと掴んでくるひろの背中をポンポンと叩く。


今まで小さい子供の面倒なんかみたことないから、あやし方はこれでいいのかいまいち分かんねぇ。


俺のぎこちなさに気づいた香里に『面倒見のいいお兄ちゃん、ファイト』と菊地や浅川と同じことを言われた。


本当のお兄ちゃんだったらもっと上手く慰めるっつーの。


ため息を吐いてひろを抱えなおす。誰かを探してるような人はいないか2人で確認しつつ、スタッフが常駐してる本部に辿り着いた。