「……パパって言ってる」
「何で距離をとるんだよ違うから。迷子だろどう見ても!」
この状況、他人からしてみたら俺と香里が幼い子供の面倒を放棄して自分達だけクレープ食べて楽しんでるみたいじゃねぇか。
「な、泣かないで。どうしたの?」
香里が子供と目線を合わせるためにしゃがみ、優しい声色で聞いてみる。
「パ、パパがね」
「パパとはぐれちゃった?」
「いなく、いなくなっちゃった……」
次々と溢れる大粒の涙をハンカチで拭ってあげながら話を進めていく。
「やっぱり迷子になったんだ。1人で怖かったね」
「どこで君のパパがいなくなったか分かるか?」
「あめうってるとこ」
「飴……林檎飴のこと?赤くて丸い飴が売ってるお店のことかな?」
「あめみてたら、パ、パパがいなくなっちゃったぁあああ!!パパー!」
「わ、泣くな泣くな。大丈夫、俺らがどうにかするって」
大泣きし始めた子供をさっと抱き上げて背中を擦った。
顔面涙でびしょ濡れじゃんか、目元を指で拭う。