あ、と口を開いて噛りつくと、熱い肉汁がじゅわっと広がった。作りたてだから余計にうまい。うまい、けど。


「はふ、あっつい」


「けど?」


「うまい!」


「ね?それがいいんだって。いくらでも食べられる気がする」


浴衣に肉汁がついて汚れないように注意しつつも、ペロリと平らげていく。

こうして好きな相手と夏祭りに来て屋台を回れる、ってすげぇ楽しい。


先走りそうになる気持ちを抑えるのが、大変だ。


「これ食べ終わったら次は何にする?」


「連続で揚げ物はやめた方がいいよね?だから軽めのやつにしておく?」


「お、いいなそれ。決定」


再び人の流れに混ざって数メートル先にあるクレープ屋へ向かう。


クラスの男女数人混ざって射的で盛り上がってるグループもあればいつものメンツで金魚掬いしてる奴らもいて、各自思いっきりはしゃいでるみたいだ。


その様子を見てるだけでも十分楽しめる。


真冬と吉原は結局どうなってんだ?


探してみると、2人はタピオカジュースを飲みながら歩いていた。