私は藤宮暖燈。

県内有数の進学校に通う、中学2年生。

「暖燈〜!テストどうだった?」

チャイムが成り終わるなり駆け寄ってきたのは、同じクラスの坂本楓。

「全然ダメだったよ〜」

本当にダメだった。

顔には笑顔を浮かべながらも、内心は絶望感でいっぱいだ。

どうしよう...今回のテストが悪かったら、またお母さんを失望させてしまう。

『なんのために高いお金払って私立に行かせてると思ってるの?』...これは、お母さんの口癖だ。

「坂本さんはどうだったの?」

敢えて『さん』をつける。

私は正直、この子があまり好きではない。

「え〜私?別にいつも通りだよ〜」

ヘラヘラと笑いながらそういう彼女のいつもの成績は、順位にして学年150人中1桁だ。

対する私は3桁の常習犯。

私だって授業は真面目に受けている方なのに、この差は一体何だろう。

彼女も、心の中では私の事を見下しているに違いない。